FP資格の基礎知識

FPって何?

「FP?何?ゲーム機の名前、どこかのアイドルグループ?」とFPの名前を知らない方から見れば、そう思われるかもしれません。「で、FPの本当の意味は何なの?」はい、FPとは、「ファイナンシャシャル・プランニング(資金計画・立案)」と「ファイナンシャルプランナー(人)」の2つを表す略称であります。

ファイナンシャルプランナーを、直訳すると「お金」の「設計者」であります。「お金」とは、個人の目標達成や夢を実現させるために必要であり、人生に関わるあらゆる面での「お金」に対し、専門的な知識をもとにアドバイスをしていきます。個人個人の夢や目標達成に向けた「ライフプラン」を実現させるための資金計画の立案には、ひとつの分野に特化した知識だけでなく、数多くの金融商品から保険、年金、不動産、ローン、税金に至るまで、幅広い知識が必要となります。

FPとしての必要なスキル

 冒頭で、幅広い知識が必要であることを述べてきました。ここでは、学習する上でFP(ファイナンシャルプランナー)になる上での3つのスキルを解説していきます。

 1つ目は「コスト」であります。資産の運用や保険などにかかるコスト(税金)についての知識とコストを抑える方法を身につくことができます。主にどのような知識かといいますと、所得税・法人税・住民税や消費税を始め、それらの税の仕組みから、所得税に関する控除・確定申告の手続き、さらに、「税理士」とのパイプ役を果たすために、必要な知識と、相続に関する法令や相続税の仕組み、贈与税との違いから、相続時に発生する税金の仕組み・対象となる財産(動産・不動産)、また、事業を引き継ぐ際の対策の重要性と計画のための知識であります。

 2つ目は、「運用」であります。FP業務における、資産形成や運用に関する知識とライフプランニングをする際の資金計画に必要となる「金融資産」や「不動産」に関する広い知識を身につくことができます。主にどのような知識かといいますと、不動産に関する法令・取得方法とかかる税金を始め、契約・不動産への投資や証券化、有効的な活用方法などについての知識と金融市場・経済の指標をはじめ、金融商品(株式や債券など)の特徴や仕組み・仕方などの知識であります。

 3つ目は、「保障」であります。老後(リタイヤメントプランニング)や生活におけるリスク管理として保険に関する知識と保険や年金の種類について、その特徴やリスクについて基本的な知識を身につけることができます。主にどのような知識かといいますと、これから、ますます重要視される各種年金の仕組みと給付を始め、社会保険や各種ローン制度、さらに、高齢化社会が進んでいる現在において、退職後の生活設計と資金計画をする上で必要な知識と、生命保険・損害保険・医療保険・介護保険から保険に関わる法令・種類・選び方・見直し方などFP業務をする上で必要な知識であります。

 このように、FP(ファイナンシャルプランナー)として必要な3つのスキルには、幅広いジャンルを網羅(もうら)しています。金融を始め、税金・保険・不動産など幅広い知識を身につけることにより、仕事に活用できるだけでなく、自分自身の生活に役立つ知識として活用することができます。

 これから先、FP(ファイナンシャルプランナー)のニーズは高くなり、企業、いや、国にとって必要不可欠な職業になります。もし、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取得して、活躍したい方は、ぜひとも、FP資格に挑戦してみてください。新しい自分を見つけることができると思います。

独立系FPと企業系FP

 「FPという名は知っていても、どのようなことをしているか解らない」という方は、以外にも多いのが現状であります。また、企業に勤めて活躍しているFP(ファイナンシャルプランナー)と独立して活動をしているFP(ファイナンシャルプランナー)は、どう違うのか?さっそく、見ていきましょう。

企業系FP

 企業に勤めているFP(ファイナンシャルプランナー)は、よく、企業系FPと言われています。主に、どのような企業・会社に勤めているFPがそう言われているのか?一つは、生命保険会社や損害保険会社を始め、銀行・証券会社・信用金庫等に勤務しているFPであります。

 これらの業界(業種)では、近年、多様化している金融商品によって複雑化、かつ、競争の激化により自社の商品販売が難しくなってきています。そのような時代に応対するために、お客様の満足度を上げ、お客様個人個人のライフプランやライフスタイルに合わせた商品を提案し、お客様が自分に合った商品を選択していただくという「考え」が必要になりました。

 そのため、各会社では、FP(ファイナンシャルプランナー)を「エスクロー」という、商品の契約前・契約後にお客様の商品に対する不安・悩みを解消させ、契約後の事務手続きや契約に立ち会う職種として採用し、営業部門等に配属して、活動しているケースが増えています。

 もう一つは、不動産業界であり、宅建資格を持っている社員が、FP資格を取得することで、売買だけではなく、税金やローン・保険に関する知識を活用して、お客様個人個人をトータル的に提案することができるようになります。これから増えていくと思います。

独立系FP

 一方で、独立系FPはどのような仕事をしているのか?よく、TVとかで、家計簿診断している専門家を見ると思います。家計簿診断している専門家は、何と名のっていると思いますか?「経済ジャーナリスト」や「節約アドバイザー」など、いろいろな名で聞くと思います。しかし、ほとんどの場合、「ファイナンシャルプランナー(FP)」と名のっている専門家が大半を占めています。このように、独立系FPの仕事を一言で言えば、「家計の主治医(ホームドクター)」であります。相談者が人生を前向きに生きていく上で、切っても切り離すことができない「お金」の問題について、相談者と一緒に考え、様々な不安や悩みを解決していきます。

 それぞれの相談者に合った資金計画を立ててあげることが、独立系FPの業務となります。したがって、業務は、個別相談が主流で、相談者と一対一、あるいは、ご家族と対面しながらコンサルティングを進めていきます。

 コンサルティング(相談)以外にも、独立系FPの業務は、企業系FPの業務と比較して幅広いのが特徴であります。TV以外にラジオなどのマスコミへの出演も独立系FPの仕事の一つであり、専門学校や学校・企業・地方自治体・住宅展示場などの講師として、後進の指導や研修での指導・消費者向けセミナー開催などをしています。近年では、FP(ファイナンシャルプランナー)に講演を依頼する機会が増えてきています。特に、2007年から団塊の世代の大量退職が始まり、2009年までに、約700万人の退職が予測されています。そのため、退職を迎えた方が、残りの人生をどう歩んでいくかについての講演が、突発的に、増えていくと思われます。また、マネー誌やWeb等で執筆する仕事も独立系FPの仕事であり、FP資格関連や生活・金融に関する原稿を寄稿したりします。

FPが必要になった背景

 ところで、FP(ファイナンシャルプランナー)が必要になった背景には、3つのことがあったからであります。

金融の自由化

 現在、「証券会社に銀行の商品」、「郵便局に証券会社の商品」を、目にすると思いますが、このような現象はどうして起こったのだろうか?それは、1990年代後半に起こったビックバン(金融の自由化)の影響が原因で、金融業界に大きな打撃を与えました。どういうことかといいますと、銀行・保険・証券を始め、消費者金融・商品先物などの業界に境界線をなくし、金融の「多様化」「自由化」「グローバル化(国際化)」を大幅に進行させたことであります。

 金融商品の氾濫によって、投資家などに選択肢を広げた反面、「どのような商品がいいか」「どこの企業の商品が自分に合っているのか」など、自己責任を原則として、投資家自身が判断し、選択するようになってきました。
 だからこそ、現在、FP(ファイナンシャルプランナー)に期待の目が向けられています。

個人金融資産の増大

 日本の借金が、約900兆円以上あるといわれている中で、個人所有の金融資産はどのくらいあるのだろうか?個人所有の金融資産は、日本全体で、約1600兆円もあると言われています。世界全体でみると、20%以上を占めています。そのうち、約50%以上が預貯金、30%以上が信託(投資信託)や保険、残り10%が有価証券(株式・債券)となっており、日本人は預貯金に頼る傾向が強くあります。なお、欧米諸国では、株式や債券などの有価証券に40%ほど、信託(投資信託)や保険に30%ほど、預貯金に30%となっています。また自国だけではなく、他の国に投資するなど、各自でリスク分散しているのが特徴であります。

 日本人が預貯金、離れする日は、そう遠くはありません。なぜなら、1980年代後半から1990年代初頭にかけておこったバブルが崩壊し、それ以降長い不況によって、超低金利の時代となり、金利に期待できない傾向にあるからであります。現在は、若干上昇していますが、諸外国と比較した場合、金利が低すぎて、期待できません。また、ペイオフ(金融機関が破綻したとき、一定の金額まで保護すること)の解禁により、金融業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、預金者からの信頼が崩れかけています。そのため、資産運用に伴うリスクを最低限にするのもFP(ファイナンシャルプランナー)の大切な役目であります。

高齢社会の到来

 現在、日本の人口は、約1億3000万人と言われています。そのうち、65歳以上を占める割合が気になると思いますが、全人口の約20%を占めています。これは、約5人の労働者世帯が1人の年金受給者を支える形になっています。2005年に生まれた人数と死亡した人数が逆転し、今後、日本の人口は減少していきます。

 2005年度の出生率は「1.25」が象徴しているように、「高齢社会」は、ますます加速するでしょう。この影響は、労働者世帯に大きな打撃を与え、年金を受け取ることができる年齢が年々引き上げられ、保険料を払いつづけても、自分が高齢になったときに、十分な年金を受け取ることができなくなる可能性が出てきています。

 また、近頃、国(社会保険庁)の無責任な保険管理によって、自分が、やっとの思いで納めた保険料が「支払われない」という記録になっているなど、年金に対する不信感は強くなってきています。

 このような中、1人ひとりの人生設計とプラン立案の支援をすることは、FP(ファイナンシャルプランナー)の使命であります。

人生ライフプラン

 人は、「就職→結婚→子供の誕生→マイホームの取得→子供の結婚・独立→夫婦の老後生活」というように、数多くの出来事(イベント)を繰り返しています。このようなイベントの循環をライフサイクルと言います。しかし、すべてが、順風満帆にいくとは限りません。

 病気やけが、事故、火災、借金など、当然、訪れる出来事もあります。これらの出来事に対処するために経済的な負担、すなわち、イベントごとに相当な資金が必要になるということであります。「では、どのように対処していけばいいのか?」という質問が、度々、聞かれているため、イベントごとに見ていきましょう。

就職期

 社会人になると、「給料」をもらうと思いますが、「給料」には、税金と社会保険料が含まれています。これらを差し引いた額が「手取り収入」であります。手取り収入を元に生活をしていかなければなりません。まずは、「貯めてから購入する」という習慣を身につける必要があります。よほどのことがない限り、ローンを組むことは避けましょう。また、保険に関する知識を身につけて、リスク対策していくことを第一に考えていきましょう。

結婚期

 結婚=人生において本格的なライフプランのスタートであります。「いつマイホームを手に入れるのか」「子供は何人ほしいのか」など、このときに、じっくりと2人で話し合うことが大切です。話し合った上で、「いくら必要か」を把握し、貯蓄に努めていく必要があります。日ごろから家計簿をつけることを習慣にして、家計管理をしていきましょう。

子供の誕生期

 子供が誕生すると、真っ先に、考えなければならないのが、教育費であります。教育費は、子供の進学状況によって変わります。例えば、「大学進学か就職か」「文系か理系か」「自宅通学か下宿か」「国公立か私立か」であります。子供が誕生したのと、同時に、教育資金の積み立てを開始させましょう。また、このときに、死亡保障も本格的に考えていかなければなりません。リスク対策を徹底させましょう。

マイホームの取得期

 マイホームは、人生の上で、最も高額な買い物であります。物件を購入する際、注意しなければならないことは、「頭金・諸経費(登記費用など)が十分に用意できているか」「十分にローン返済できるか」であります。マイホーム取得時期は、子供の教育期と重なっています。そのため、全額を住宅に回すということは避けましょう。また、余裕があれば、老後の準備もした方がいいでしょう。

子供の結婚、独立期

 子供が、無事に教育を終え、就職・結婚・そして、独立。その時期になると老後が気になると思います。老後に向けての、生きがい、健康管理を十分に考え、老後資金を本格的に準備しなければなりません。「自分の年金はいくらもらえるか」「退職金で生活をまかなうことができるか」などをチェックしていく必要があります。また、住宅ローンが残っている場合は、老後を迎える前に、無理のない範囲内で返済を終わらせましょう。

夫婦の老後生活期

 退職後の生きがいを明確にし、再就職やボランティアの検討もしていく必要があります。また、自分が住んでいる近隣の住まいや医療体制が十分であるか確認しましょう。歳を取ると体の衰えが目立つようになります。そこから、病気・けがに発展する恐れもあります。居住地の市区町村で、どのような介護サービスを受けることができるのか、あらかじめ、情報を収集する必要があります。情報を収集すると同時に、相続のことも考えておきましょう。

FPと相談者を結ぶもの

ライフプランニングをするためには?

 多くの方は、自分の目標や夢を実現させるために、計画を立てて、行動すると思います。しかし、資金がないと行動することは、難しくなります。そのため、資金計画を立てることも大切であります。資金計画は、結婚・マイホーム取得などの、各ライフプラン(生活の出来事)表を作成し、毎年の収入と支出を把握するための分析が重要となります。そこで、FP(ファイナンシャルプランナー)と相談者を結ぶ6つのステップがあるのです。

ライフプランの手順

 ライフプランを実現させるための6つのステップは、このような手順で進められます。「①目標の明確化とその数値化→②情報の収集→③情報の分析→④提案書の作成→⑤プランの実行援助→⑥定期的なフォロー」という手順で進められます。それぞれのステップを詳しく見てきましょう。

①目標の明確化とその数値化

 ライフイベント表を作成するために、顧客がもとめていることを把握しなければなりません。把握するための方法として「カウンセリング」という手法を使います。例えば、「結婚資金」や「子供の教育資金」「金融資産の見直し」などについて、相談者から話を聞き、目標を決めます。目標を決めた上で、具体的な数値を決めて、次のステップに移ります。

②情報の収集

 情報を収集する際、「お金」のことについて教えたくない相談者が、たまにいます。一番多い理由として、情報が漏れるという強い不安感があるからです。FP(ファイナンシャルプランナー)は、「個人の情報を漏らさない」ことを相談者に伝えましょう。主に、どのような情報を収集するかと言いますと、「年金の加入状況」、「保険の加入状況」、「相続人や家族構成」などの情報であります。

③情報の分析

 「年金の加入状況」「保険の加入状況」「相続人や家族構成」等の情報の収集をしたら、次は、情報の分析をおこないます。主に、どのようなことをするかと言いますと、収入と支出をもとに作成された表(キャッシュフロー表)での現状把握や生命保険の保険料や保険金額・保障内容の分析、相続税額の試算などをおこないます。これにより、相談者の問題点を発見することができます。

④提案書の作成

 情報の収集・分析をしたら、いよいよ、提案書の作成をおこないます。提案書とは、個人用の企画であり、幅広い角度から、提案し、相談者の不安・悩みを解消させるものであります。

 提案書には、どのようなことが記載されているのか?具体的に、家族構成・金融商品の種類・預貯金の額・生命保険等の加入状況・住宅ローン・負債(その他借金)の情報などから始まり、解決前と解決後の収入と支出をもとに作成された表(キャッシュフロー表)、問題点を示した注意と改善後のアドバイス、その他参考文献などが記載されています。相談者と最良のプランであることの検証をすることができます。

⑤プランの実行援助

 提案書を作成し、相談者と話し合い、方向性が定まれば、その実現を図るためのサポートをおこないます。具体的に、どのようなことをしたらいいのかと言うと、相談者がもとめている情報などを提供することなどであります。

⑥定期的なフォロー

 プランの実行を援助までが、FP(ファイナンシャルプランナー)の仕事ではありません。1年後、何年後も、状況の変化に応じて、相談者のライフプランのメンテナンスをおこなっていく必要があります。


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