資格を取った後は

講師業について

現在、FP(ファイナンシャルプランナー)に依頼しているケースが多いです。どのような講師依頼が多いのかと言うと、FP資格に関する講座から消費者向けのマネーセミナー、企業向けのセミナー(従業員向け研修)などを始め、最近では、団塊世代向けのセカンドライフセミナーなどが多いです。実務家FPにとって講師業は、業務の1つとされており、講師としての実務家FPは、必要とされている存在です。では、実態は、どうなっているのか?講師業で活躍している、独立系FP事務所経営のS・Sさん(男性)のお話を聞きましたので、インタビュー形式で紹介します。

どのような講師をされているか?また、仕事のもらい方について教えてください。

 現在、定年退職、もしくは、定年退職を迎える予定の団塊世代向けのセカンドライフに関するセミナー講師をすることが多いです。月によっては、1ヶ月のうち半分を、セカンドライフに関するセミナーが、しめた月もあります。
他には、FP資格関連のセミナー講師をしており、最近では、住宅展示場でのセミナーや証券外務員2種の講師もしています。また、仕事のもらい方についてですが、始め頃は、今のようなセミナーの依頼は、ほとんどなく、自分の手でセミナーの運営・企画をしていました。今、思うと、ある意味、集客が一番厳しかったですね。それから、徐々に、依頼が舞い込んで着ましたが、間に、FP関連の会社や運営管理機関などが入り、それらの会社・機関などを通じて、依頼があります。

 そのため、ただ単に「依頼」を待つだけではなく、「営業」ももとめられています。講師業の営業としては、直接、講師依頼のある資格スクールや間接的に講義依頼のあるFP関連の会社等に、応募することになります。
多くの場合は、「講師募集に応募」か「紹介」のどちらかになります。しかし、いずれにせよ、模擬講義があり、これをクリアしなければなりません。「オーディション」形式でおこなわれるところが多いので確認しておきましょう。

やり始めたきっかけと、つらかったことは何ですか?

 FP(ファイナンシャルプランナー)として活動する以前から、投資説明会などで、投資家などに対してセミナー講師をしていました。そこから、自然とFP(ファイナンシャルプランナー)としての講師業を始めることができました。それに、「相談業務だけでやっていくのは難しい」というのも理由の1つです。一方で、つらかったことですが、1日に連続して講義が入ることです。体力的に大変だと感じます。また、「多少のことで絶対に休めない」というのもあります。1度、引き受けたら、休めない、特に、直前になって「休む」ということになれば、えらいことになります。「自分の代わり」がいないことに、責任感を感じます。そのため、体には、十分に気をつけています。

今後の展開は、どのようにお考えですか?

 はい、今後の展開としては、DC(確定拠出年金)プランナーの資格を取得して、DC(確定拠出年金)のセミナーをやってみたいですね。なぜなら、セカンドライフに関するセミナーをやっていくうちに、年金について問われることが多く、取得しておけば、得だと思ったからです。また、依頼を受けている企業が、DC(確定拠出年金)を導入しようとしているのも理由の1つです。それから、時代に応対した、新しい展開を心がけています。全く「ゼロ」の状態から始めるのではなく、これまで、やってきた経験や分野・事柄などを、少しでも生かして、シフトしていきたいと考えています。

キャリアUPについて

 FP(ファイナンシャルプランナー)資格を取得すると、実務家FPとして、講師・執筆・相談の各業務に従事する以外に、キャリアUPして、仕事力を高めていくという方法もありあす。例えば、不動産会社に勤務していれば、「不動産」以外の知識を身につけて、お客さんに対して、トータル的なアドバイスをすることが可能になり、また、学生時代から、取得していれば、金融業界に対して自己PRすることができ、同時期に入社した方よりも、一層早いスタートをきることが可能です。その中で、今回は、来年4月に、大手信用金庫に入社する予定のA・Uさん(女性)のお話を聞きましたので、インタビュー形式で紹介します。

どうしてFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取得しようと思ったのか?

 私のいとこが、銀行に勤務しているので、そこから、預貯金や為替・株式などの金融商品に興味を持ったからです。直接のきっかけは、「お金の学園(仮称)」というFP(ファイナンシャルプランナー)と消費者を結ぶポータビリティーサイトで、ある若手独立系FPのブログを拝見したことです。そこで、金融商品以外のことについて、知ることができ、あらためてFP(ファイナンシャルプランナー)資格に興味を持ちました。

当時、大学3年生であった私は、将来的に役立つ勉強をしたいと思っていたところで、ちょうどいい時期に「FP(ファイナンシャルプランナー)」のことについて詳しく知れたのでよかったと思っています。早速、大学内にある生協で、FP講座を申し込み・受講しました。とても興味深い内容でした。そして、その流れを利用して、FP資格に関連している企業を中心に、就職活動を始めました。

就職活動では、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格は、役に立ちましたか?

 実は、就職活動を始めた時点では、まだAFP認定研修が修了して、受験を迎えるというころでしたが、面接では、存分にアピールしたつもりです。ちなみに2級FP(ファイナンシャルプランニング)技能士合格とAFP資格取得は、内定後でした。面接で一番多かった質問が、「大学で、一番がんばったことは何ですか?」でしたが、これには、ボランティアサークルに所属し、4年間続けてきたことと、大学の授業以外にも、自発的にFP(ファイナンシャルプランナー)資格を学習していることを、自信を持ってアピールすることができました。

 また、当時、FPの学習をしているときだったため、面接官から「FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を取って、何をしたいのですか?」という質問もよく受けました。そのとき、「お客様と向かい合って、資産形成の手伝いを・・・」と、抽象的な答えしかできませんでしたが、「特に、不動産の分野に興味があります。」と、FP(ファイナンシャルプランナー)としての興味の方向性を示したことが好印象だったかもしれません。途中段階で、どうして評価されたかは、わかりません。今思うと、大げさなことを言ったかもしれないと思いますが、「FP」のおかげで、金融業界で、何がやりたいかを明確にでき、面接のとき、堂々と受け答えできるようになったのは事実です。

今後の目標を教えてください。

 はい、今後は「CFP」資格に挑戦しようと思います。内定式のとき、AFP資格取得者が半分近くいて、さらに、わずかながらCFP全課目合格者もいて、うかうかしてられないと思いました。CFP資格を取得したら、TOPに立って、独立系FPも視野に入れて活動したいと思います。興味のある方は挑戦してみてください。

執筆業について

 
 講師業についで、執筆業も実務家FPの業務の1つです。執筆と言っても、多種多様で、インターネットなどのWeb上での執筆もあれば、お金に関する本を出版したり、マネー雑誌などで、お金の記事を掲載するのもあります。しかし、すべてのFP(ファイナンシャルプランナー)が、うまくいっているかというと、そうでもなく、ごく一部です。多くありません。あくまでFP業務をしている中で、自然な流れで執筆の依頼が増えているパターンが多いです。その中で、執筆業で活躍している独立系FP事務所経営のY・Mさん(男性)のお話をお聞きしましたので、インタビュー形式で紹介します。

執筆業をしめる割合と、どのような媒体で掲載されますか?

 執筆業は、時間をうまく活用すれば、スケジュール次第で、業務しやすいです。割合ですが、時間的にも収入的にも、7割程度です。あとは、相談(コンサルティング)業1割、講師業1割、その他の企画が1割となっています。

 最初のころは、「執筆業でやっていこう」という気はなく、偶然かつ自然に執筆の依頼を受けることが多くなりました。これまで、執筆の経験がなく、文章の書き方、文脈の整理、資料の収集など、すべての面で苦労しました。私が、執筆している媒体は、単行本や雑誌、Web上など様々です。単行本としては、共著で3級FP(ファイナンシャルプランニング)技能士資格の問題集を1冊出版しています。その中で、「相続・事業承継設計」の分野を担当し、20~30ページ分を執筆しました。現在は、2冊目を執筆中です。

 雑誌では、有名なマネー誌にて、「保険の見比べチェックポイント」などを、何度か執筆させていただきました。また、新聞や他雑誌などでも、FP(ファイナンシャルプランナー)としての視点で、執筆しています。

Web上では、SNSサイトで、コラムを執筆し、現在、「住宅ローン」に関するメルマガ(メールマガジン)を月に1回、発信しています。現在のところ、ほとんどの場合、執筆依頼が来て書き始める、というスタイルです。

どのようにして依頼をとっていますか?

 ほとんどの方は、営業や持ち込みなどをして、仕事をもらっています(依頼をとっています)が、私の場合は、セミナーや勉強会で知り合ったFP(ファイナンシャルプランナー)の方々や、所属している団体からの紹介が、100%をしめます。初の執筆依頼も紹介によるものでした。現在も、紹介した方からの執筆依頼をうけています。

 開業当初は、知識や人脈を広げていきたいと考え、セミナー、勉強会に参加しました。現在も、主体的に顔を出すように行動していますが、すべては、自分自身のためです。このことが、結果的に、人脈が広がり、執筆依頼が増えたのかもしれません。そう考えると、このことが営業だと思っています。

執筆をする上で、心がけていることはありますか?

 文章を書く際、誤解を与えないように気をつけています。ごくあたり前のことですが、書籍や雑誌などの文章で書かれている媒体は、セミナーと違い、文章だけの表現なので、できあがった際、何度も何度も読み直して、伝えられるか確認します。

 執筆すると、どうしても締め切り日が気になる方もいると思いますが、当然、守らないといけません。依頼当初に提示された締め切り日が、どんなに厳しくても、断ったり、変更することはありません。なんとしてでも間に合わせています。私は、「執筆=スピード勝負」だと思っています。いつ執筆依頼が来ても、常に、とりかかれる状態を心がけています。そのことが、信用につながると考えています。

相談業について

 今も昔もかわらず、多くの消費者は、「有料」という言葉には、耳を傾けようとしませんが、「無料」という言葉には、耳を傾けようとします。そう考えた場合、「個人から相談料」をいただくことは、至難でしょう。「ちょっとした家計の見直し」「住宅ローンの見直し」ぐらいであれば、マネー雑誌を買ったり、セミナーを受講するか、ましてや、Web上で情報収集するかなどの方法があります。そう考えた場合、個人が、お金を払ってまで相談することは、よほどのことがない限り、「ない」に等しいと思います。
 しかし、個人ではなく、法人から相談料を取ることは十分に可能です。なぜなら、法人は、常にリスクを抱えているからです。リスクを回避させるためにも、FP(ファイナンシャルプランナー)に、相談料を支払っています。その中で、企業に対して相談業務をしている、FP会社経営のM・Dさん(女性)のお話を聞きましたので、インタビュー形式で紹介します。

相談料の受け取り方と、どのような相談が多いか教えてください。

 多くのFP(ファイナンシャルプランナー)は、その都度、相談料を徴収する方法と顧問契約料という形で徴収するという2通りを使っていますが、私の会社では、100%顧問契約料という形で一括にしていただいています。ちなみに、法人が100%をしめており、個人として、直接、契約を結んでいません。法人対法人による契約が主流です。

 相談内容ですが、経営についての相談が80%をしめていますね。もともと、経営コンサルティング会社を経営していたこともあり、特に、経営についての相談の中で、リスクマネジメントの部分が多いですね。他には、税金(法人税)に関する部分もありますが、こちらの部分については、業務提携をしている税理士と協力しながら、スムーズに業務をおこっています。残り20%が、顧問先法人で働いている個人の相談となり、役員からの相談が大半をしめますが、中には、従業員からの相談もあります。

従業員と役員の相談はどのように違いますか?

 私が、これまでに相談した中で、役員と従業員では、ここまで、違うのかと、正直、驚きました。役員、特に、社長さんですが、これまでは、経営に関する相談を受ける中で、役員の報酬や死亡保障などのリスクマネジメントの話から、社長個人のライフプラン相談に発展するケースが多かったのですが、現在では、直接、個人相談として持ちかけられることがあります。不動産に関する相談が多いですね。例えば、「個人で売買したほうがいいのか?」「会社として売買した方がいいのか」「別に会社を設立して、売買した方がいいのか?」などです。

 一方、従業員からの相談については、法人の総務部を通じて質問を受けています。相談は、わりと一般的な質問が多いですね。例えば、「住宅ローンの見直し」や「保険の見直し」などです。これらの相談を、基本的に、メール・FAX・電話などで回答し、あるいは、月に一度、直接出向いて面談することもあります。また、以前、従業員の多くは、「お金のことについて、相談したいけど、どこに相談したらよいのか?」と思っていました。現在は、全くのあかの他人に相談するわけでもないため、その辺は、安心しています。

営業活動はしていますか?

 いいえ、ほぼ100%が、紹介によるものです。相談業は、どんな仕事をしているか、理解していただくのに時間をようし、難しいのが特徴です。また、仕事内容を説明するのも難しいですね。紹介ですと、そのあたりを理解していただいています。


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